離婚に伴う年金分割の内容と注意点
2025/07/15
こんにちは、弁護士の森田です。
1 はじめに:老後のために、今こそ知っておくべき「年金分割」
離婚を考えたとき、多くの方が気にされるのが「お金」の問題です。
財産分与や慰謝料といったイメージはあっても、「年金」については意外と見落とされがちです。
実は婚姻期間中に形成された厚生年金は、離婚時に分け合うことができます。それが「年金分割制度」です。
今回は、将来後悔しないために知っておきたい「年金分割」について、制度の内容や注意点を解説します。
2 年金分割とは?夫婦で築いた年金を分け合う制度
年金分割とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた年金(厚生年金)を、離婚時に分ける制度です。
対象になるのは「厚生年金」の一部である「報酬比例部分」です。
自営業者が加入する「国民年金」や、いわゆる基礎年金部分は分割の対象外です。
3 分割の方法は2種類:合意分割と3号分割
①合意分割(すべての人が対象)
婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分を、当事者同士の話し合い(または調停)で決めた割合で分割します。
最大50%で、分割割合について合意が必要です。
離婚後2年以内(財産分与の請求期限が5年に延長されるのに合わせて年金分割の請求期限も5年に延長される予定です)という請求期限があります。
②3号分割(専業主婦・夫など第3号被保険者対象)
2008年4月以降の扶養期間(配偶者が厚生年金、本人は保険料を払っていない場合)について、合意なしで50%に分割できます。
相手方の同意や合意は不要で、離婚後2年以内の手続きが必要です(近々5年に延長予定)。
4 清算条項があっても年金分割は可能です
協議離婚の際に離婚協議書や公正証書を作成し、あるいは調停離婚の際に調停調書を作成し、通常「ここに定めるほかに債権債務がないことを相互に確認する」といった清算条項を入れます。
これにより、財産分与・慰謝料などが「すべて解決した」とされ、それ以上の請求はできなくなります。
しかし、ここで注意が必要です。
清算条項があっても、年金分割の請求は妨げられません。
年金分割は、厚生労働大臣に対する公法上の請求権であり、当事者間の合意で放棄したとみなされることは原則ありません。
ただし、「年金分割において請求すべき按分割合を定めるための調停や審判の申立てをしない」旨の合意をすることは可能です。
つまり、年金分割をするためには、その前提として按分割合を合意や調停等で定める必要がありますが、その手続をしない旨の合意をすること自体は可能であり、その結果、按分割合が定まらないために年金分割ができないということになります(この場合も、当事者間の合意が不要である3号分割は可能です)。
5 よくある誤解と注意点
「自動的に年金分割される?」→年金事務所での手続きが必要です。
「離婚後いつでもできる?」 → 離婚後2年以内という期限があります(財産分与の請求期限が5年に延長されるのに合わせて年金分割の請求期限も5年に延長される予定です)。
「相手が協力してくれないからできない」 → 3号分割なら相手の同意は不要です。合意分割なら調停や審判が必要になります。
6 年金分割でいくら年金が増える(減る)のか?
「夫の年金の半分をもらえる」「自分の年金が半分になってしまう」と思っている方も多いのですが、年金分割では「年金額」そのものではなく、「厚生年金の報酬比例部分」が分割対象です。
実際に将来いくら年金が増える(または減る)かについては、年金事務所の「情報提供通知書」や「ねんきんネット」を利用して、概算年金額を試算することができます。
7 まとめ
年金分割は離婚時の重要なポイントの1つです。
合意分割・3号分割の違いを理解し、請求期限以内に手続きをするようにしてください。
清算条項があっても請求できるので、あきらめずに確認を。
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