子を連れて別居するのは誘拐だと言われた…本当に犯罪になるの?子連れ別居の民事的・刑事的な問題と正しい対応について
2025/10/15
こんにちは。弁護士の森田です。
離婚や別居を考える際、「子どもを連れて行ったら誘拐罪で訴えると言われた」「子どもを連れて別居すると『連れ去り』になって違法なのでは?」とご相談いただくことがよくあります。特に、相手に無断で子どもを連れて実家などに移ることに、不安を感じる方は少なくありません。
しかし、子どもを連れて別居することがただちに違法となるわけではありません。「子連れ別居」について、民事と刑事に分けて説明します。
1 民事的な問題について
(1)原則:同居している親権者が子を連れて別居することは違法ではない
日本では、夫婦が婚姻中の場合、親権は両親双方にあります。そのため、婚姻中に同居していた片方の親が子どもを連れて家を出たとしても、それだけでただちに違法とされることはありません。
DVや子どもへの悪影響などがある場合には、子の利益の観点から別居することがやむを得ないとされることも多いです。
(2)例外:子連れ別居が違法とされるのはどんなとき?
とはいえ、以下のような場合には「違法な連れ去り」と評価され、後の親権争いなどに影響を及ぼす可能性があります。
・子を連れて行く方法が平穏なものでないとき(暴力や脅迫を用いたり、子の意思に明らかに反する場合など)
・別居後に正当な理由なく、相手方に子との面会交流の機会を一切与えないとき
このような場合、家庭裁判所での親権や監護権をめぐる争いの中で、「子どもを相手から不当に引き離した」と評価されることがあります。
(3)家庭裁判所の基本的な考え方
家庭裁判所では、親権や監護権について判断する際、「子の利益」を最優先にします。どちらの親と暮らすことが子にとって安定した環境か、安全か、情緒的なつながりが維持されるかなどを総合的に判断します。
したがって、正当な理由があって子どもを連れて別居した場合(たとえば、DVからの避難や子の心身の健康を守るためなど)には、その行動が子の利益にかなっているとして違法とはされないことが多いのです。
2 刑事的な問題について
原則:子連れ別居は未成年者略取誘拐罪にあたらない
刑法では、「未成年者を略取誘拐」することは犯罪とされています(刑法224条)。
しかし、暴行・脅迫等を伴わず、かつ同居している子を親権者が連れて行く行為は、未成年者略取誘拐罪にはあたらないとされています。
ただし、例外もあるので注意が必要
以下のようなケースでは、未成年者略取誘拐罪にあたる可能性があります。
・親権のない親や別居後の非監護親が、親権者や監護親に無断で子を連れ去る場合
・第三者(親族や交際相手など)が関与して子を連れ去る場合
実力行使による自力救済には裁判所は厳しい判断をすることが多いので、親権者でない場合は親権者変更調停、非監護親は監護者指定・子の引渡し審判等の法的な手続きを取るべきです。
3 子を連れて別居する前に気をつけたいこと
今後のトラブルを防ぐためにも、次の点に留意することをおすすめします。
・別居前に法律相談を受けること
・可能であれば話し合いによる合意を得ること
→ 書面での同意があると、後々のトラブル回避に役立ちます。ただ、実際には難しいことが多いです。
・別居後に相手方との面会交流の機会を確保すること
→ 子どもにとって両親との関係を保つことは重要です。子に対する危険があるなど特段の事情がなければ、柔軟な対応が望まれます。正当な理由なく面会交流を一切認めないと、親権や監護権の判断において不利な事情とされることがあります。
4 まとめ
子どもを連れて別居することが、直ちに違法になるわけではありません。また、子連れ別居は通常、未成年者略取誘拐罪にあたりません。子どもの福祉や安全を守るために、やむを得ず別居を選択することは、法律上も正当とされるケースが多いです。
ただし、その判断には慎重さが求められます。ご自身の状況に即した適切な対応をとるためにも、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
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