子どもを親の感情のケア役にしないために――離婚時に大切にしたい親子の距離感
2026/01/15
こんにちは、弁護士の森田です。
離婚事件の相談をお受けしていると、しばしば次のようなお話を伺います。
「子どもの前では気をつけているつもりなのですが、つい相手の悪口を言ってしまう」
「相手が浮気をしたことを子どもに言ってもいいですか」
「あの子はしっかりしているから、多少のことはわかってくれると思う」
お気持ちは理解できます。
離婚の過程では、相手への不満や怒りが募り、誰かに話を聞いてもらいたいと思うのは自然なことです。
しかし、子どもの前で他方の親を悪く言ったり、親の悩みを子どもに話すことは、子どもにとって大きな負担になります。
1 しっかりしているように見えても、子どもは子ども
親の離婚を経験する子どもは、想像以上に多くのことを感じ取り、考えています。
中には、親の気持ちを察して自分の感情を抑え、気丈に振る舞う子もいます。
しかし、しっかりしているように見えても、子どもは子どもです。
子どもは、まだ成長の途中にあり、大人の支えと安心を必要としています。
親の代わりに大人の問題を背負わせてはいけません。
子どもを「味方」にしようとしたり、「相談相手」にしてしまうことは、一見心のつながりを感じるかもしれませんが、実際には子どもに過度な負担をかけています。
2 子どもは親の一部ではなく、独立した存在です
離婚という出来事の中で、親はどうしても自分の感情を中心に考えがちです。
しかし、子どもは親の一部や所有物ではなく、独立したひとりの人間です。
離婚するような事態に至った夫婦は互いに相手のことが嫌いだと思いますが、子どもはどちらの親のことも好きで、大切に思っています。
ですので、どちらか一方を否定する言葉を聞かされると、
「お父さん・お母さんを好きな自分はダメなのかな」
「どちらの味方をすればいいのだろう」
といった心の葛藤を抱えることになります。
これは、子どもの心に長く残る痛みとなり得ます。
3 親の感情のケアを子どもにさせてはいけません
離婚の過程では、孤独や悲しみ、怒りなど様々な感情が生まれます。
その気持ちを子どもに打ち明けたくなる瞬間もあるかもしれません。
しかし、子どもに親の感情をケアする役割を負わせてはいけません。
「あなたがいるから頑張れる」と伝えること自体は悪いことではありません。
ただしそれが、「あなたがいなければ私はつらい」「あなたしか頼れない」という形になると、子どもは“親を支えなければいけない”と感じて、自分の感情を抑えて親を気遣うようになってしまいます。
それは、子どもの心の健やかな成長を妨げることになりかねません。
4 子どもを守るために、できること
子どもの前では相手の悪口を言わない
子どもを自分の悩みの相談相手にしない
子どもの感情を尊重し、安心して話せる環境をつくる
感情の整理は信頼できる大人や専門家に任せる
親自身のつらさを軽視する必要はありません。
ただ、そのつらさを「子どもに預けない」ことが、子どもを守る第一歩です。
5 まとめ
子どもはしっかりしているように見えても、保護されるべき存在です。
子どもは親とは別の独立した存在であり、親の感情のケア役ではありません。
子どもの前で他方の親を悪く言うことは、子どもの心を深く傷つけます。
感情の整理が難しいときは、専門家に相談しましょう。
親としてすべき最も大切なことは、子どもが、両親から愛され尊重されていると感じながら、自分らしく成長できる環境を守ることです。
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