浪費した人が得をする?投資で増やした人が損をする?──財産分与の「公平」を考える
2026/02/01
こんにちは、弁護士の森田です。
離婚の場面で大きなテーマとなるのが「財産分与」です。
夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を、半分に分ける──という仕組みです。
シンプルに見えますが、実際の事件では「それって本当に公平なの?」と思う場面が少なくありません。
今回は、特に近年ご相談の多い
一方が浪費してしまったケース
一方が投資で財産を増やした(または減らした)ケース
を取り上げて、財産分与の考え方をわかりやすくご紹介します。
1 浪費した人が得をしてしまう?現行制度の「もどかしさ」
財産分与の対象となるのは、原則として別居時の財産です。
つまり、別居までの間に使ってしまったお金は、存在しない以上「分けるものがない」とされてしまいます。
たとえばこんなケースが考えられます。
Aさんは堅実に貯蓄していたが、Bさんは婚姻中に浪費を重ねて貯金がほとんどない。別居時点でAさんの預金は300万円、Bさんは0円。
→ 財産分与ではAさんの300万円を150万円ずつ分けることに。
この結果、浪費したBさんが得をし、まじめに貯めたAさんが損をする──という、不公平に見える結果になってしまうことがあります。
⚫︎この不公平にどう対処するか
実務では、浪費・使い込みの証拠(高額な引き出し、クレジット履歴など)を示して、「本来残っていたはずの財産を不当に減らした」と主張することによって、分与割合の修正や浪費分を「ある」ものとして計算することを求めることが考えられます。
ただし、浪費の立証は簡単ではなく、結果的に「現存財産だけで分ける」という原則が優先されることも多いのが実情です。
2 投資で増やした(または減らした)財産はどうなる?
最近は、NISAや投資信託、株式などで積極的に資産運用をしている方も増えました。
この場合、婚姻中に投資で得た利益は、原則として夫婦共有財産に含まれます。
⚫︎なぜ夫婦共有財産になるのか?
投資に使ったお金(原資)が夫婦の収入や貯蓄から出ている場合、その運用で増えた利益も「夫婦の協力によって得たもの」と考えられるからです。
一方で、投資を行った本人からすれば、「自分が知識を身につけ、リスクをとって増やしたのに、増やしたものの半分を取られるのは納得できない」と感じるのも自然なことです。
⚫︎努力や能力の差は考慮されるのか?
実務上、次のように整理されます。
投資が通常の資産運用の範囲であれば、原則のままとし、投資が特別な知識・労力・リスクを伴うもので、明らかに本人の努力や判断による成果だと認められる場合には、分与割合を修正する余地があります。
また、逆に投資で損失を出した場合、損失も夫婦で分ける(共有財産が減る)ことになるのが原則です。
ただし、あまりにも無謀な取引で損失を出した場合などは、浪費と同様に本人の責任として考慮されることもあります。
⚫︎結局のところ、「公平」はどこで調整されるのか
財産分与は、形式的には「残っている財産を半分に分ける」というシンプルな制度ですが、実際には次のような複雑な要素が絡みます。
浪費や隠し財産がある
投資や副業などで本人の能力が影響している
別居直前に多額の財産がなくなっている
これらは最終的に、「分与の割合を修正する」または「特定の財産を共有財産から除外する・追加する」といった形で、実質的な公平を図ることが考えられます。
3 まとめ
財産分与は「別居時の財産」を基準に半分ずつ分けるのが原則です。
ただし、浪費や投資など「使い道」「能力や努力」によって不公平が生じる場合、修正が認められることがあります。
「どうやって財産が増えた・減ったのか」を丁寧に説明することが、納得のいく分与への第一歩となります。
離婚における財産分与は、数字の計算だけでなく、「どんな経緯でその財産が形成・減少したのか」を丁寧に整理することが大切です。
お金の出所、具体的な使途・浪費の有無、投資の性質などを具体的に説明することで、形式的な「半分」にとらわれない、実質的に納得できる解決を目指すことができます。
気になることがある場合は、お早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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