離婚の財産分与で押さえておきたい「特有財産」の考え方
2026/02/15
こんにちは、弁護士の森田です。
離婚に伴う財産分与は、夫婦が婚姻期間中に形成した共有財産を分けるものです。
財産分与について、よくご相談として寄せられるのが「どこまでが財産分与の対象になるの?」「これは特有財産なのでは?」というものです。
ここでは、特有財産の基本的な考え方と実務上のポイントを解説します。
1 そもそも「特有財産」とは?
民法では、夫婦の一方が
婚姻前から有していた財産
婚姻中に自己の名で取得した財産(相続・贈与など)
を「特有財産」としています。
これらは、原則として財産分与の対象には含まれません。
典型例としては次のようなものがあります。
独身時代から所有していた預金
親から相続した預金・不動産
個人的に受け取った贈与財産(金銭・不動産・株式など)
婚姻前に保険料を全額払った生命保険の解約返戻金など
2 「夫婦共有財産」の考え方
夫婦が婚姻期間中に得た収入や、それをもとに形成された貯蓄・不動産などは、名義に関わらず「夫婦共有財産」と扱われ、財産分与の対象になります。
たとえば、
婚姻後にできた預金
婚姻後に購入した住宅や車
といったものは、名義が夫婦のどちらであるかに関わらず 夫婦が協力して築いた財産として夫婦共有財産と判断されるのが原則です。
3 特有財産かどうかが問題になるケース
① 結婚前の預金が婚姻後に動いている場合
お金に色はついていないため、結婚前の貯金が生活費や投資に混ざってしまい、どこまでが「婚姻前の財産」なのか区別できなくなるケースがあります。
② 相続した財産を住宅購入に充てた場合
相続した預金は特有財産ですが、それを使って結婚後に住宅を購入した場合、金額によっては住宅の一部を特有財産と考えたり、財産分与の割合で考慮することがあります。
③ 事業用資産
個人事業主の場合、事業に必要な財産の多くが婚姻後に形成されることがあります。
事業用資産は「誰の名義か」だけでは判断できず、事業に対する必要性・形成過程などを丁寧に整理する必要があります。
4 特有財産を主張するために重要な「証拠」
特有財産であることを主張する側が、特有財産であることを証明する必要があります。
次のような資料は特に重要です。
婚姻前の預金通帳
遺産分割協議書
贈与契約書
購入資金の出どころや金額がわかる振込記録
婚姻前の保険証券など
財産分与において夫婦共有財産なのか特有財産なのかを判断するために、「どの財産が、誰の、どの時点のものか、それはどこから来たのか」を明確にすることが必要になります。
5 まとめ
特有財産は原則として財産分与の対象外ですが、
婚姻中に夫婦共有財産と混ざった場合
特有財産が共同生活に利用された場合
などには、扱いが複雑になりがちです。
財産の性質を適切に整理し、必要な証拠を揃えた上で主張していくことが重要です。
特有財産に関する判断は個別事情によって大きく変わるため、疑問や不安がある方は早めに弁護士にご相談ください。
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