弁護士 森田冴子

退職金は財産分与の対象になる?退職まで長い年数がある場合はどうなる?

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退職金は財産分与の対象になる?退職まで長い年数がある場合はどうなる?

退職金は財産分与の対象になる?退職まで長い年数がある場合はどうなる?

2026/11/01

こんにちは、弁護士の森田です。

 

離婚にあたって財産分与を考えるとき、預貯金や不動産だけでなく、退職金も問題になることがあります。

「まだ退職していないのに、将来もらう退職金まで分けなければならないの?」

「定年退職まで20年もある場合でも、財産分与の対象になるの?」

このような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

 

今回は、離婚時の財産分与における退職金の扱いについて、将来受け取る予定の退職金も対象になるのか、どのように計算するのかを解説します。

 

1 退職金は財産分与の対象になる?

退職金は、既に受け取っている場合だけでなく、将来受け取る予定のものであっても、財産分与の対象になることがあります。

退職金には賃金の後払いとしての性質があります。そのため、婚姻期間中の勤務によって形成された退職金については、夫婦が協力して築いた財産として、財産分与の対象になると考えられています。

会社員の夫が退職金を受け取る場合、妻が働いていなかったとしても、家事や育児などを通じて夫の就労を支えてきたのであれば、その協力が退職金の形成に寄与したと考えられるためです。

 

もっとも、退職金であれば必ず財産分与の対象になるというわけではありません。特に、まだ支給されていない将来の退職金については、実際に支給される見込みがあるかどうかが重要になります。

 

2 将来受け取る退職金も対象になる?

将来受け取る予定の退職金については、退職金が支給されることや金額が、離婚時点でどの程度確実といえるかが問題になります。

定年退職まであと数年で、勤務先の退職金制度も明確であり、退職金が支給される可能性が高い場合には、将来の退職金も財産分与の対象とされやすいです。

 

他方、退職まで長い期間が残っている場合には、事情が異なります。

今後、転職や退職をするかもしれませんし、勤務先の経営状況や退職金制度が変わる可能性もあります。将来の退職金の支給自体が確実とはいえず、金額も変動する可能性があるためです。

 

そのため、将来の退職金が財産分与の対象になるかどうかは、退職までの年数だけでなく、勤務先の規模や退職金制度、これまでの勤務状況などを踏まえて判断されます。

 

3 退職金はどのように計算する?

将来の退職金が財産分与の対象となる場合でも、将来受け取る退職金の全額を分けるわけではありません。

基本的には、婚姻期間中の勤務に対応する部分が問題となります。

 

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

  入社から別居までの勤務期間:30年

  婚姻期間中の勤務期間:20年

  別居時に自己都合退職したと仮定した場合の退職金:1,500万円

この場合、婚姻期間中の勤務に対応する部分を計算すると、次のようになります。

1,500万円 × 20年/30年 = 1,000万円

さらに、この1,000万円を夫婦で2分の1ずつ分けると仮定すれば、相手方に分与する額は500万円となります。

 

4 退職金を財産分与の対象とする場合に注意したいこと

将来の退職金を財産分与の対象とする場合には、いくつか注意すべき点があります。

 

(1)退職金制度や支給条件を確認する

勤務先に退職金制度があるか、どのような条件で支給されるか、自己都合退職の場合にいくら支給されるかなどを確認することが重要です。

退職金規程や退職金の試算資料などがあれば、将来の支給見込みを検討するうえで参考になります。

 

(2)退職までの期間を考慮する

退職までの期間が長いほど、将来の退職金の支給や金額には不確実な要素が増えることになります。

そのため、退職までの年数は、将来の退職金を財産分与の対象とするかどうかを検討するうえで重要な事情となります。

 

(3)将来の退職金をどのように分与するか

退職金が財産分与の対象となる場合でも、実際に退職金を受け取るのは何年も先ということがあります。

離婚に伴う財産分与なので、原則として離婚時に支払うものなのですが、退職金が実際に支払われる前に多額の支払いをするのは難しい場合もあります。

離婚時に算定して他の財産と合わせて清算する方法などが考えられますが、具体的な支払時期や方法は事案によって検討することになります。

 

5 まとめ

退職金は、既に受け取っている場合だけでなく、将来受け取る予定のものであっても、財産分与の対象になることがあります。

ただし、将来の退職金については、実際に支給される見込みがあるかどうかが重要です。特に、定年退職までに長期間がある場合には、退職金の支給や金額について不確実な要素が大きいため、個別の事情を踏まえた検討が必要になります。

 

退職金が財産分与の対象となるかどうか、また対象となる場合にいくらを分与すべきかは、勤務先の退職金制度や勤務期間、婚姻期間などによって異なります。

離婚にあたって退職金の扱いに疑問や不安がある場合には、具体的な資料を確認しながら、弁護士に相談することをおすすめします。

 

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