「監護者指定」と「居所決定に関する親権行使者指定」の違いとは?
2026/04/15
こんにちは、弁護士の森田です。
離婚後の子どもに関する問題の中でも、「どちらの親と一緒に暮らすか」は最も重要で、かつ紛争になりやすいテーマです。家族法改正により、共同親権を前提とした様々な手続が整備される中で、「監護者指定(変更)」と「居所の決定に関する親権行使者の指定」という、似ているようで異なる制度が並び立つことになりました。
本記事では、この2つの制度について、共通点と相違点を整理します。
1 共通点(似ているところ)
まず、この2つは実務上かなり重なり合う場面があります。
(1)いずれも「子がどちらの親と暮らすか」に関係する
監護者指定はもちろんのこと、居所の決定権(どこに住むかを決める権限)をどちらの親が単独で行使するかが問題になる場合も、結局は「子がどちらの親と生活するのか」という問題に直結します。
そのため、非監護親が「自分が子と暮らしたい」と考える場合や現在の生活状況を変更したい場合には、いずれの手続も選択肢として考えられます。
(2)判断基準はいずれも「子の利益」
どちらの手続であっても、家庭裁判所が最も重視するのは「子の利益(福祉)」です。
具体的には、
・これまでの監護状況(主たる養育者は誰か)
・生活環境の安定性
・環境変更が子に与える影響
・子の意思(年齢に応じて)
という事情が総合的に考慮されます。
そのため、手続の選択によって結論が大きく変わるというよりは、事案の中身が結果を左右するという点は共通しています。
2 相違点(違うところ)
もっとも、この2つは制度趣旨や機能が明確に異なります。
(1)決める対象の違い
最も重要な違いはここです。
①監護者指定
→ 実際に子どもを養育する親(生活の主体)を決める
子と同居する親、日常的に世話をする親という、いわば「生活そのもの」を決める手続です。
②親権行使者の指定(居所)
→ 居所に関する最終決定権を持つ親を決める
どこに住むかを最終的に決める権限、意見が対立したときの決裁者を決めるもので、こちらは「権限の配分」に関する手続です。
(2)性質の違い(事実 vs 権限)
監護者指定→ 事実(誰が育てるか)
親権行使者指定→ 法律上の権限(誰が決めるか)
という違いがあります。
(3)制度の使われ方
①監護者指定
現在の生活状況を変更したい場合や主たる養育者の地位を争う場合に、正面からの争いとなります(結論は白黒がつきやすい)。
②親権行使者の指定(居所)
共同親権のもとで意見が対立する場合や転居・留学など特定事項で争いがある場合に、紛争の一部を切り出して解決する手続です。
(4)実務上の重なり(重要ポイント)
もっとも、居所の決定権は「どちらの親と暮らすか」に直結するため、居所に関する親権行使者の指定が問題となる場合、実質的には監護者変更と同様の影響を持つことがあります。
そのため家庭裁判所は、形式にかかわらず、実質が監護者変更に当たるかどうかを踏まえて、慎重に判断することになると思われます。
3 どちらの手続を選ぶべきか
実務上は、
生活の主体そのものを変えたい → 監護者指定(変更)
特定の問題について決定権を整理したい → 親権行使者の指定
というのが基本的な使い分けです。
もっとも、実際の紛争では、主位的に監護者変更を求めつつ、予備的に居所決定権の指定を求めるといった形で、両方の手続を組み合わせることも考えられます。
4 まとめ
監護者指定と居所に関する親権行使者の指定は、いずれも「子がどちらの親と暮らすか」に関係する点で共通しつつ、一方は「子を監護する主体を決める」、他方は「子が暮らす場所の決定権の配分」という違いがあります。
もっとも重要なのは、手続の選択そのものよりも、子の利益の観点から見てどのような生活環境が望ましいかという点です。
制度はあくまで手段であり、結論を左右するのは個別具体的な事情です。具体的な方針については、専門家に相談のうえ、事案に応じた適切な手続を選択することが重要です。
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